経営者・就活生必見!メガバンク出身者が伝える「融資業務」の実態

融資 仕事

「倍返しだ!」昨年シーズン2が放送され、またまた大ヒットした半沢直樹。銀行員の奮闘を描いたドラマですが、原作者の池井戸潤さんがメガバンク出身であることは有名ですよね。あのドラマを見て銀行に入りたい、いや入りたくない!色々思った方はいると思います。半沢直樹は銀行で言うところの総合職にあたりますが、その総合職のメインの業務は「融資業務」です。ざっくり言うとお金を貸すことですが、実際どういう業務なのか、就活や転職活動をするうえで気になる方多いと思います。

昨年まで6年間、メガバンクで勤務した私が、銀行での仕事内容について、リアルな実態をスーパー分かりやすくお伝えします。この記事を見れば銀行で働くということがどういうことが、かなり知識が深まっていると思います。

そもそもなぜお金を貸す=融資をする必要があるの?

この世の中にはたくさんの会社がありますが、大半の会社は商売を続けるために銀行からの借り入れ、つまり融資が必要です。え、そんなに業績が悪くてお金が欲しい会社が多いの?と思う方いらっしゃると思いますが、実は業績が伸びている会社であるほど、その融資は必要となります。なぜか、では、「自分で作ったぬいぐるみをネットで販売する」という例でわかりやすく解説します。

  1. よし、まずぬいぐるみ作るには材料がいるな、綿や生地を東急ハンズで買おう。アルバイトで貯めたお金もあるし大丈夫!
  2. ぬいぐるみ完成!じゃあ次は販売サイトを作ろう!これもお金かかるけど、まだお金あるから大丈夫!
  3. ぬいぐるみがSNSで話題となり大バズリ!「早くぬいぐるみを作ってください!」という声殺到!
  4. このチャンスを逃すまい!予約注文を受け付けよう。
  5. なんと100個の注文が!嬉しい!けど100個のぬいぐるみ作らなきゃ!またハンズに行こう!
  6. ん?お金が足りない…まだ売り始めたばかりだから前払いもしてもらえないから、商品を届けないとお金が入ってこない…
  7. 売れているのにお金が足りない…泣 誰か、商品が売れたら返すから!材料を買うだけのお金今だけ貸して泣泣

上記が融資のニーズが発生するからくりです。お金を借りる=業績が悪いから と思われがちですが、実は売上が伸びている会社ほど、外部のお金が必要なんですね。商品が売れすぎて結局その商品を作る費用でお金がすっからかんになり、家賃や従業員の給料を払えず、「黒字倒産」となるケースも往々にしてあります。そんなもったいないことにならないよう銀行がいるのです。もちろん業績が悪化してお金を借りるケースもありますが、業績を伸ばす「攻め」の為にも融資が必要であるということをご認識ください。

融資業務の前提知識として知っておきたい「融資」をすることの”重み”

では、銀行がお金を貸すことが出来るのはなぜでしょうか。そのお金の調達先は?そうです。答えは皆さんの銀行口座にあるお金です。ぬいぐるみの材料をハンズで調達するように、貸すためのお金を皆さんから調達しているのです。皆さんが一斉に銀行口座からお金を引き出して、たんす貯金を始める!となったら銀行はあっという間につぶれ、お金を借りたい会社もつぶれます。

したがって、皆さんが血と汗で積み上げたお金を使って融資をするので、当然その融資したお金が返ってくるかどうかの見極めをとことん行う必要があるのです。

融資業務を大解剖

それでは融資の必要性、重みをご認識いただけたうえで、実際にどのように会社に対して融資を行うのか順番に解説します。

  1. 融資の需要のある会社から決算書、試算表をいただく
  2. 細かく事業内容についてヒアリングを行う
  3. 支店長、および本部の仮決裁をとる
  4. 融資の提案をする
  5. 契約書を締結する
  6. 融資の実行
  7. 定期的な業績の確認、現場訪問などを行う

1.融資の需要のある会社から決算書、試算表をいただく

会社の実態を知るうえで、まずは財布事情を数字で見ることが銀行員の基本です。すべての判断のベースとなります。三期分の決算書と直近の業績を反映した試算表の提出依頼を行います。
ここの提出がない会社にはほぼ100%融資は行いません。しかしここのハードルが意外に高いです。開示しないけど言葉を信用して融資してくれよという会社も中にはいます。その際には数字の必要性を説いて、なんとか貰えるよう交渉を重ねます。

2.細かく事業内容についてヒアリングを行う

なぜこの数字となったのかという数字の根拠、また数字上ではわからない会社の未来や経営者の資質等を細かくヒアリングします。生産現場や会社の仕事の様子もしっかり目に焼き付けます。融資をするかどうかの判断においてプラスになりそうな要素、リスクとなりそうな要素を洗い出します。

決算書の提出を渋る会社にはまずこのヒアリングから入ります。また先方のプラスになりそうなビジネスマッチングやイベントの情報、為替の情報を積極的に持っていきます。自分の会社に興味を持ってくれている。と先方が思ってくれた際には決算書の提出もすんなりいくケースが多いです。

3.支店長、および本部の仮決裁をとる

定量面、定性面の分析が終わったら、この会社に対しての有効な貸出方法、上限金額、期間などの提案内容を決め、課長、支店長、本部の仮決裁をとります。ここで本部から、この条件を飲めるならいいよという条件付き確約となる場合もあります。ここで本部に却下され、バトルとなることも多いです。なぜなら本部は最終責任者となるので、失敗は許されず保守的になるからです。追加で資料の提出を要求されるケースもあります。私の場合、10種類の追加書類を本部に求められたときがありますが、会社のことを誰よりも分かり切っているので、すべて打ち返し、1/5まで減らしたときもあります。

4.融資の提案をする

内部でオーソライズをとったら先方にこの条件でいかがでしょうか。という融資の提案を実際に行います。この融資方法ならこの提案書というフォーマットがある程度決まっているので、そのフォーマットをベースに提案書を作り、支店長の決裁をもらったうえで先方に持っていきます。

5.契約書を締結する

先方が応諾したら、再度内部に本決裁を取り、契約書を締結します。この契約書は、融資の条件をシステムにいれると自動的に反映され、紙で出力されます。この契約書の内容が間違っていないか、システムに入れる段階で何人もの目を通り、確認されます。

6.融資の実行

契約書に印鑑をいただき、融資日に先方の口座に入金されるようシステム上に入力します。ここの融資日が一日でもずれると大変なことになりますので、細心の注意を払います。大体、営業部隊が5の契約書締結までを行い、その後の入金オペレーションを行う専門事務部隊にバトンタッチをするのが一般的な流れです。この事務部隊と仲良くなることが融資をスムーズに行う秘訣です。私もたくさんお菓子を差し入れたり、ご飯を奢ったりしました。社外だけでなく社内コミュニケーションも盛んにとることが融資を成功させる近道です。ここは逆にいうとやりがいの部分ですね。

7.定期的な業績の確認、現場訪問などを行う

返済の遅延がないか、融資した金額が正しく用途通りに使われているか、業績の変化はないかなど、新たな需要はないか、など定期的に先方に訪問し、足元の状況を把握します。この訪問が疎かにならないよう訪問日やヒアリング内容はすべてシステムに入力し、足が遠のいている先があればアラートがなるような仕組みになっています。私も店舗のある取引先があればその店舗に定期的に訪問し、商品ライナップの変化や客足の変化を把握するようにしていました。

「晴れの日に傘を貸して雨の日に取り上げる」って本当なの?

ここで、よく銀行を揶揄する表現として「晴れの日に傘を貸して雨の日に取り上げる」という言葉がよく用いられます。業績がいいときは擦り寄ってきて、悪くなったら返済を迫る。という意味なのですが、これは本当なのか解説します。結論から言うと半分正解、半分間違いです。

「晴れの日に傘を貸して」の部分

まず「晴れの日に傘を貸して」の部分ですが、業績がいいときに積極的に提案を持っていくのは本当です。理由は先ほどぬいぐるみの例で述べた通りですが、業績が伸びている会社ほど資金が必要となるケースが多く、かつ返済原資である入金があることが分かり切っているケースが多いので、もったいない「黒字倒産」を避けるべく、積極的に提案を実施します。

「雨の日に取り上げる」の部分

上述しましたが、銀行がお金を貸すための原資は、皆さんが血と汗で積み上げたお金です。そのお金が戻ってこないリスクが増えた際には、先方への訪問を繰り返し、なんとか会社が立ち直るような提案や取引先の紹介を行います。どうしてもそれでも返済できないとなった場合は社長の資産や会社の資産をキャッシュ化いただき返済していただく形となります。

よくこの返済を迫る部分だけクローズアップされますが、現実では、そうならない前に業績が落ち始めた段階で様々なサポートや提案を行い、最悪の事態を避ける動きを本部と連携して行います。
したがって取引先に定期的に訪問し、わずかな変化をキャッチする視野、アンテナが銀行員には求められるのです。

まとめ

以上、銀行員のメイン業務である「融資業務」の実態をお伝えしました。多くの会社の決算書や事業をヒアリングすることで業界の知識も増え、なにより世の中の商売の仕組やお金の流れを掴むことができます。その分、毎週のように勉強会が開かれ、個人の総合力を高める機会が盛んに設けられます。試験も他の業界に比べたら多いです。その機会を生かすも殺すも自分次第、今は家業にジョインした私ですが銀行員時代の知識が大いに役立っています。コミュニケーション能力も育ちます。

DX化が進み、人員カットが進む昨今ですが、データには表れない部分をくみ取れるのはやはり「人」です。そういった意味では銀行員の存在価値は今後も変わることはないでしょう。皆さんの預金を守るという強い責任感を持ちながら、様々な会社を救い、成長を後押しする。そんな仲間と出会えるのが銀行だと今でも思います。是非就活や転職活動するうえで参考にしてみてください。

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